編むことを。
午前中はスイッチ切れていた。
文字づら通りにPCを落としていた。
暗い画面はなんだか寂しそうだった。
やはり、と思い直しスイッチオン。
「しゆいは言葉のひとなんだね」とスピさん。
そう、最初に言葉ありき。無ければ編もうと思う。
こうしてキーボードに向かう、編み手なんだと。
複雑でもない、ごく簡単な幼稚園生のわかちがき程度でも。
ひらがなの習得が異様に速かったらしい。
小学校高学年で国語ドリルの100点をばりばり獲った。
女の子特有の国語頭。
中学で苦手の数学や社会科に埋もれて
その輝きは徐々にうしなわれていったのだった。
編むことをしよう、と思い立ち書いている。
感想文や弁論大会、押し付けられては大役に泣いた中学時代。
わたしは勝気で泣き虫だった。ごうごう泣いた。
この世の終わりのように泣いた。
明日、ぽきりと折れそうな老婆になっても構わない、とさえ考えた。
社会科の先生は島崎藤村の「破戒」を読める奴はいるか、と
しょっちゅう言っておられた。図書委員長の先輩が
感想文を書かれていて「ああ、お読みになったんだ」と知った。
戒めを破るで破戒。スピさんから正式なタイトルを聞いた。
「谷間の百合」も「女の一生」も背表紙だけで見知っている。
母が「女の一生」をしみじみ読んでいて妹と共に
きゃわきゃわ騒いでいた娘だった。
親戚でいちばん文字の読み始めが早かった、と
きっと言葉に取り組みたかったのだと思われ。
母は本を買ってくれた。小学生に必要な水準の本を
買い与えてくれた。とっととサブカルに移行してごめんよ、母。
スピさんにはすっかりサブカルのしゆいと認識されている。
いえ、それで間違いないんスけど。
編むことをしたくて生まれてきた。
たっぷりとした言葉の膝かけを編もうじゃないか。
こんな冬の午後に。
- 2019.02.06 Wednesday
- 綴りごと。
- 14:10
- comments(0)
- -
- -
- by 思惟(しゆい)